ピロリ菌治療は怖くない!7日間で8割以上が成功。
ピロリ菌シリーズ、遂に完結編です。
第1弾は概説
第2弾は検査
最後の第3弾は治療についてお話します。
ピロリ菌の治療って、なんだか大変そうです。
いえいえ、基本は1週間お薬を飲むだけですよ!
今日は ピロリ菌の治療と、治療後のことについてもお話していきますね。
ピロリ菌とは(第1弾)
ピロリ菌とは、胃粘膜に住み着いて胃がんの原因となる微生物です。
日本人の2人に1人が感染していると言われています。
詳しくは、過去の記事をご参照ください。
ピロリ菌の検査(第2弾)
ピロリ菌の検査には、色々な方法があります。
私のお勧めは、尿素呼気試験または糞便抗原検査です。
それぞれについての細かな特徴は、過去の記事をご参照ください。
ピロリ菌の治療対象となる人
何らかの検査でピロリ菌陽性と診断された場合、除菌治療が望ましいです。
ただ、保険適用で治療を行うには以下の条件があります。
ピロリ菌治療の保険適用基準
①ピロリ菌陽性が判明している
②胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃MALTリンパ腫
免疫性血小板減少性紫斑病
早期胃がんに対する治療後
③約6カ月以内に胃カメラで慢性胃炎を確認されている
※①かつ、②または③を満たすこと
上記の②の場合は疾患の治療になりますので、医師の指示に従いましょう。
出来るだけ保険適用で検査・治療を行う為に
平成25年からは、③の慢性胃炎に対しても適用が追加されました。
つまり、特に症状のない胃炎でも、保険でピロリ菌治療が出来るのです。
ここが多くの皆さんに関係してくる部分だと思います。
ピロリ菌陽性が判明し、胃カメラの検査も終了している方は問題ないです。
治療の項へ進みましょう。
ただ、まだピロリ菌の検査や胃カメラをしていないという方…。
もしかしたら、順番を変えるだけで治療費が安くなるかもしれません。
下記に示しておきますので、確認してみてください。
ピロリ菌の検査も、胃カメラもしていない(6カ月以内)
ピロリ菌検査にも保険適用基準があります。
それが、実は上記の「ピロリ菌治療の保険適用基準」と同じなのです。
つまり胃カメラで先に慢性胃炎が判明した場合、保険適用でピロリ菌検査を受けることが出来ます。
ちなみに健康診断は、全て自費診療です。
どうせ同じ検査をするなら、急ぐ事情がないのであれば保険適用で安く済ませるというのも有効な選択肢だと思います。
健康診断で(最近)胃カメラを受けたことが無い方は、まずは胃カメラを受けてみて、結果次第でピロリ菌検査を検討するのも良いと思います。
ピロリ菌検査で陽性だったが、胃カメラをしていない(6カ月以内)
次に健康診断などでピロリ菌検査を行い陽性判定で、胃カメラを行っていない場合です。
除菌をしようと考えるなら、
①自費診療でピロリ菌治療を受ける
②胃カメラを受けて慢性胃炎の診断を貰い、保険診療でピロリ菌治療する
という二つの選択肢が考えられます。
特別の事情が無い限りは、②をお勧めします。
理由は大きく二つあります。
一つは治療費の問題です。
ピロリ菌治療は8割の方は1回で終わりますが、たまに2回以上の治療を要します。
その際、保険適用があるのとないので、差が大きくなります。
もう一つの理由は、医学的なものです。
ピロリ菌陽性が判明しているなら、胃カメラをしておくべきだからです。
胃粘膜をよく観察して、早期胃がんの有無などを確かめるべきです。
ピロリ菌陽性で胃カメラがまだの場合は、できるだけ先に胃カメラを受けましょう。
ピロリ菌の検査はしていないが、胃カメラで慢性胃炎は無いと言われた
ピロリ菌検査をしたことがなく、胃カメラで慢性胃炎もない場合…。
ピロリ菌に感染している可能性は低いと考えられます。
ただ、若い方の場合は胃炎所見がまだ確り見えないこともあります。
心配な場合は、自費になりますがピロリ菌検査を受けるのは良いことだと思います。
ピロリ菌治療の実際
では、実際のピロリ菌検査について見ていきましょう。
ピロリ菌治療(一次除菌)
ピロリ菌の治療では、3種類のお薬を1週間内服します。
・胃薬(PPI/プロトンポンプ阻害薬)
・アモキシシリン(抗生剤)
・クラリスロマイシン(抗生剤)
副作用として、下痢・軟便となる方がいらっしゃいます。
ただ、多くの方が治療を最後まで行うことが可能です。
下痢になるときは、整腸剤の使用なども検討されます。
この最初の治療を一次除菌と言います。
一次除菌で、80~90%の方が除菌成功します。
除菌成功を確かめるためには、再度ピロリ菌検査が必要です。
この除菌判定は、治療後2-3カ月の時点でおこないます。
治療直後では、検査結果が正しく分からない為です。
ピロリ菌治療(二次除菌・三次以降)
一次除菌が失敗した場合、二次除菌に移ります。
お薬を変えて再び治療を行います。
多くの場合、最初と異なる薬を含んだ3種類を、1週間内服します。
この二次除菌でも、80~90%の方が除菌成功します。
稀ですが、2回目の治療でも失敗してしまうことがあります。
この場合は消化器の専門の先生にお願いして、更に除菌治療を行うことになります。
ピロリ菌除菌後
1年に1回の内視鏡検査
ピロリ菌の治療が終わった後も、定期的な胃カメラの検査が望ましいです。
除菌治療によって胃がんのリスクは下がります。
しかし、その時点までに障害された粘膜は完全には回復しません。
そこを下地にして癌が発生するリスクが、ピロリ菌感染歴のない方よりも高くなります。
具体的には、1年に1回の胃カメラ検査を行っていれば良いでしょう。
再感染は稀
ピロリ菌は治療後の再感染は稀とされています。
ただ、再陽性化と言う現象がみられることがあります。
これは一度検査で陰性が出ていたけれど、実は僅かにピロリ菌が残っていた場合です。
時間をかけて再び増殖したピロリ菌により、検査が陽転化することがあります。
あまり多いケースではないので、気にし過ぎる必要はありません。
心配であれば、少し時間をあけて再検査してみるのも検討します。
しかし、少なくとも毎年ピロリ菌の検査を行う必要はありません。
まとめ
今回はピロリ菌の治療について具体的にお話しました。
検査や治療の保険適用など、些かややこしい部分が多い分野です。
しかし治療そのものは明快で、簡単に受けれるものです。
もし制度で分からないことがあれば、医療機関に相談してみましょう。
健康的な胃を手に入れて、安心して生活していきましょう。