内科医花芝の健康小話

ちょっと健康に役立つことをお話します。

アミノインデックス検査で初期の癌をスクリーニングしましょう。

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アミノインデックス検査ってご存知ですか?

何だか片仮名で分かり難い検査ですね…?

身体のアミノ酸バランスから様々なことを調べる検査です。

 

『血液一滴で早期の癌が分かる…!』

と、マイクロアレイ血液検査が最近、話題になりました。

此方は2020年3月現在、実用化は未だとなっております。

(運用開始は2021~2022年頃だと言われています)

 

しかし実はもう一つ、

早期の癌をスクリーニングできる血液検査があるのです。

それがアミノインデックス検査です。

耳慣れない方もいらっしゃるかもしれないこの検査について、

本日はお話していきたいと思います。

 

アミノインデックス検査って、そもそも何?

どんなことが分かるの?

そんな疑問にお答えしていきます。

 

アミノインデックス検査とは

アミノインデックス検査とは、体内のアミノ酸バランスによって様々な病気のリスクを予測する検査です。

 

人間の身体は、「水分60%、タンパク質20%、その他20%」で出来ています。

この中のタンパク質の元となるのがアミノ酸です。

体内には約20種類のアミノ酸があります。

健康な人間はこのアミノ酸が一定のバランスで存在しています。

最近、特定の病気に罹患すると、このアミノ酸バランスが崩れることが分かってきました。

 

アミノインデックス検査では、癌の検査生活習慣病の検査が可能です。

今回はこのうち、癌の検査についてお話します。

(原理としては同じです)

アミノインデックス検査(AIRS)

体内のアミノ酸バランスによって様々な病気のリスクを予測する

対象疾患は、主に以下の2種類

・癌のリスク予測(AICS)

・生活習慣病予測(AILS)

腫瘍マーカーとの違い

血液検査で可能な癌の検査として、腫瘍マーカーを思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。

腫瘍マーカーは、癌の進行とともに増加する体内物質を調べる検査です。

PSAなら前立腺がん、CA19-9なら膵臓がんなど、ある程度特定の癌ごとに上昇する腫瘍マーカーは決まっています。

(重複することもあります)

アミノインデックス検査と腫瘍マーカーの違いは以下の通りです。

アミノインデックス検査と腫瘍マーカーの違い

①アミノインデックス検査は早期癌でもリスク予測可能

②アミノインデックス検査は一度の検査で複数の癌が検査可能

③アミノインデックス検査は保険適用できない

一つずつ見ていきます。

①アミノインデックス検査は早期癌でもリスク予測可能

アミノ酸バランスの乱れは、病気のごく早期から起こると言われています。

つまり、アミノインデックス検査はごく早期の段階でもリスクの予測が可能です。

一方、腫瘍マーカーは、病気が進行しなければ検査が陽性になり難いという弱点があります。

だから早期の癌スクリーニングとしては、やや効果が劣ります。

②アミノインデックスは一度の検査で複数の癌が検査可能

アミノインデックス検査は1度の採血で複数の癌を検査可能です。

一度採血すれば、その人のアミノ酸のバランスは分かります。

そのパターンを複数の癌に当てはめることで、複数検査が可能となります。

 

一方、腫瘍マーカーは特定の物質について調べていく検査です。

肺がん、乳がん、前立腺がん、それぞれで調べる項目が変わります。

 

これに関しては、どちらが良いと言うことではありません。

全般的にスクリーニングしたければ、アミノインデックス検査が良いでしょう。

一方、特定の癌が気になる場合は、狙い撃ちでの腫瘍マーカーも検討されます。

③アミノインデックスは保険適用できない

アミノインデックス検査は保健適応がありません。

値段は2万円~2万4千円くらいとなっています。

腫瘍マーカー検査も人間ドックなどで受ける場合は自費診療です。

しかし、ある病気の精密検査で受ける場合は保険が使えます。

アミノインデックス(がんリスクスクリーニング)

アミノインデックス検査のことは、AIRSと言います。

その内、がんリスクスクリーニング検査のことをAICSと言います。

このAICSの具体的な内容について見ていきましょう。

対象となる疾患(癌)

AICSの対象となる疾患は、男女で違います。

男性5種類、女性6種類となります。

具体的には、以下の通りです。

AICSの対象疾患
男性: 胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がん

女性: 胃がん、肺がん、大腸がん、

            膵臓がん、乳がん、子宮がん・卵巣がん

対象となる年齢

AICSの対象年齢は病気によって異なります。

結果は全ての癌に対して判定されますが、有効なのは対象年齢の疾患のみです。

具体的には以下の通りです。

AICSの対象年齢
20歳~25歳:子宮がん、卵巣がん
25歳~40歳:胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、
      乳がん、子宮がん、卵巣がん
40歳~80歳:胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、
      乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん
80歳~90歳:胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、
      乳がん、前立腺がん

検査結果の見方

 

検査結果は、それぞれの疾患に対して3段階で評価されます。

ランクA、ランクB、ランクCです。

ランクAは最もリスクが低く、ランクCでは最もリスクが高いです。

 

具体的には、各種の癌の罹患率を1とした時…、

ランクAだと0.3~0.7 倍

ランクBだと1.3~2.1 倍

ランクCだと4.0~11.6倍

という倍率であるということを示しています。

 

ここで大切なのは、以下の点です。

・ランクAなら癌がないと言い切ることは出来ない

・ランクCでも癌があると言いきることは出来ない

・リスクが高い場合、精密検査で詳細を調べる必要がある

 

あくまでリスクを調べる検査です。

リスクが高いと判明した場合は、精密検査の追加を要します。

どの段階から精密検査をするかは判断が分かれるところです。

個人個人の基礎疾患や家族歴などから判断すべきだと思います。

悩むようでしたら、医療機関にご相談ください。

アミノインデックス検査、どう考えるべきか?

アミノインデックス検査は決して安価な検査ではありません。

また、信憑性の点からも医療者間で意見が分かれているようです。

腫瘍マーカーでも同じなのですが、これらは絶対的な検査ではありません。

例えば胃カメラで胃がんを発見するとか、そういった検査とは異なります。

 

しかし、ある程度早期がんのリスクが予測できるのは事実です。

一つのオプションとして、また他の検査と組み合わせて使用するのも良いかもしれません。

このとき大切なのは、結果を正しく利用することです。

不安になり過ぎることなく、軽視しすぎることなく、冷静な判断が必要です。

まとめ 

今回はアミノインデックス検査についてお話しました。

絶対的なお勧めとは言えませんが、オプションとしては考慮しても良いかもしれません。

一度の血液検査で複数の癌のリスクを予測できるのは、画期的ではあります。

まだ新しい検査なので、今後、報告も増えてくるかと思います。

新しい知見が増えた場合は、またお話させて頂きますね。

検査について正しく理解し、活用していきましょう!