内科医花芝の健康小話

ちょっと健康に役立つことをお話します。

MCIスクリーニング検査で軽度認知障害のリスクを知って予防しよう!

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親が認知症になってしまい、自分も心配です…。

でも、いきなり精密検査というのも大げさかな?

MCIスクリーニング検査というものがありますよ。

 

MCIとは、Mild Cognitive Impairmentの略です。

日本語では「軽度認知障害」と訳されます。

簡単に言うと、正常と認知症の中間の状態です。

 

MCIスクリーニング検査は、血液検査でMCIのリスク判定ができます。

MCIは全例が認知症に移行する訳ではありません。

生活習慣の改善で、進行を食い止めることが出来る場合があります。

今回はこの検査についてお話していきますね。

 

MCI(軽度認知障害)スクリーニング検査って、何?

検査結果が悪かったらどうすれば良いの?

そんな疑問にお答えしていきます。

 認知症とは

誰でも歳をとるにつれて、物覚えが悪くなるものです。

これは老化による「物忘れ」です。

一方、「認知症」病気によって脳の神経細胞が変化します。

あくまで傾向としてですが、以下の特徴があります。

認知症の特徴

・だんだん進行していく

・日常生活に支障をきたす

・忘れたこと自体を忘れている

(忘れっぽいという自覚がない)

認知症の原因となる病気

認知症は様々な病気が原因で起こります。

現在、主に認知症の原因となっているのは以下の病気です。

認知症の原因

1位 アルツハイマー病  65%

2位 血管性認知症    20%

3位 レビー小体型認知症   5%

アルツハイマー病がかなりの割合を占めていることが分かります。

なお、血管性認知症とは、脳梗塞・脳出血などに伴い発生する認知症です。

事故などの外傷性の場合もありますが、多くは生活習慣病・動脈硬化に伴うものです。

MCIとは

MCI(軽度認知障害)とは、正常と認知症の中間の状態です。

物忘れはあっても、日常生活に支障はありません。

年間で10~30%の方が認知症に進行します。

(正常な方の場合は1~2%程度)

一方、MCIから正常なレベルに回復する方もいます。

 

このうち、特に重要なのがアルツハイマー病と関連したMCIです。

理由として以下の点が挙げられます。

・割合が非常に大きい(認知症の半分以上)

・病態が判明し、検査で検出可能な項目がある

・進行を遅らせる薬が登場し、早期発見が望まれるようになった

MCIスクリーニング検査

MCIスクリーニング検査では、このアルツハイマー病に伴う認知症のリスクを測定します。

詳しく検査について説明していきましょう。

アルツハイマー病の原因

アルツハイマー病は、脳に蓄積した老廃物が神経細胞を破壊し、発症します。

この老廃物をアミロイドベータペプチドと言います。

老廃物の蓄積は、発症の20年前から始まっていると言われています。

ゆっくり時間をかけて、アルツハイマー病は悪化していくのです。

MCIスクリーニング検査の原理

老廃物を脳から排除するタンパク質があります。

これは、脳神経細胞保護にも関わっているとされています。

いわば老廃物のお掃除屋さんです。

このタンパク質が減るとアミロイドベータペプチドが蓄積し、脳神経細胞にダメージを与えます。

 

MCIスクリーニング検査では、このお掃除屋さんタンパク質の量を測定します。

タンパク質量が低下していると、認知症のリスクが高いことになります。

MCIスクリーニング検査の実際

MCIスクリーニングは7cc程度の血液検査で行えます。

保険は効きませんので、自費診療で2万円程度です。

健康診断のオプションとしている病院もあります。

MCIスクリーニング検査は受けるべき?

認知症が心配な方には一つの指標になると思います。

健診などと一緒に行える手軽さもあります。

ただ、実際に強く疑う症状などがある場合は、スクリーニング検査ではなく通常の病院を受診すべきでしょう。

 

早期発見が目的の検査なので、50代での受診が勧められています。

MCIスクリーニングの一番の目的は、自覚症状に乏しいMCIの方を発見し、進行を食い止めることです。

アルツハイマー病は治療は難しいですが、予防には介入の余地があります。

検査結果が良くなかった場合でも、深刻に受け止め過ぎず、生活習慣の改善に努めましょう。

アルツハイマー病予防の為に

アルツハイマー病は、生活習慣の改善でリスクを減少させることが出来るという報告があります。

以下に望ましいとされていることを挙げていきます。

 

①ウォーキングなどの運動習慣(有酸素運動)

 1日30分程度、週3回以上

 楽しみながら行うとなお良い

② 体と脳を同時に使う

 ・歩きながら計算をする

 ・踏み台を昇降しながらしりとりを行う

③緑黄色野菜・魚・果物・大豆・地中海食の摂取

 逆に高カロリー、高脂肪食はよくない 

④積極的なコミュニケーション

 脳への刺激は認知症予防につながる

⑤短時間(30分以内)の昼寝

⑥禁煙

まとめ 

 今回は、MCIスクリーニング検査についてお話しました。

認知症というと抵抗不可能な怖い病気、というイメージの方も多いと思います。

ただ、生活習慣の改善で、リスクを下げることは可能です。

いわゆるメタボ対策は、そのまま認知症対策に通じる部分もあります。

日頃から健康的な生活を心がけていきましょう。

 

認知症予防の為にも、健康的な生活を送りましょう。