高血圧に対する食事療法。減塩、減量、DASH食!
血圧が高いと言われてしまいました…。
食事に気を付けろと言われたけど、具体的にどうすれば?
高血圧の方の食事療法は、減塩・減量が中心となります。
高血圧は生活習慣と密接に関わっています。
今回はその中でも「食事」について、具体的なお話をしていきます。
参考にしながら、健康な身体作りに活かしてみてください。
高血圧の人はどんな食事をすれば良いの?
お酒は飲んでも良いですか?
そんな疑問にお答えしていきます。
高血圧とは
2019年の高血圧治療ガイドラインを基準にお話すると、病院で測定した血圧が120/80mmHg未満の方が正常となっています。
つまり、これより高い場合は、何らかの対策が望ましいのです。
上記は2014年に決められていた基準より厳しくなっています。
何故かというと、血圧120/80mmHg以上では、血圧が上がるごとに脳心血管系のリスクが上昇することが分かってきたからです。
血圧をコントロールするのは、怖い合併症を防ぐためです。
少しでも気になる方は、生活習慣の改善を頑張りましょう。
高血圧の基準や血圧の測り方などについては、詳しくは過去の記事をご参照ください。
高血圧に対する食事療法
高血圧の方が食事で注意したいポイントを纏めました。
①塩分制限
②減量(適切なカロリー制限)
③DASH食
④節酒
それぞれについて、詳しく見ていきます。
①塩分制限
塩分制限は、高血圧の食事療法の基本です。
また、塩分の摂り過ぎは血圧が高くない人であっても、脳心血管病のリスクを上げることが報告されています。
味噌、醤油など、日本人の食事は塩分過多になりやすいです。
意識して塩分を減らしていく工夫が必要です。
日本人の一日塩分摂取量の平均は、男性11g、女性9.3gです。
高血圧の方の一日塩分摂取量の目標は6g未満です。
なお、健康な方の一日塩分摂取量の目標値は、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
つまり、元々平均的な塩分摂取量だったと仮定すると、高血圧の方は一日約5gの塩分を減らす必要があるのです。
塩分摂取量(一日)
日本人の平均 :男性11g、女性9.3g
高血圧者の目標:6g未満
健康成人の目標:男性7.5g未満、女性6.5g未満
減塩の血圧を下げる効果についてですが、高血圧の方の場合は1日1g塩分を減らすと、約1mmHg血圧が下がると言われています。
僅かな低下に感じられるかもしれませんが、元の塩分摂取量が多かった場合、かなりの効果になります。
また、減塩そのものに脳心血管疾患のリスクを下げる効果もある為、やはりまず塩分を減らすのが、高血圧の食事療法の基本となります。
②減量(適切なカロリー制限)
高血圧の方は減量して、体重を適切なBMIに保つことも大切です。
具体的には、BMIが25未満になるように頑張りましょう。
減量には食事療法・運動療法を同時に行っていくことが大切です。
BMIについては過去の記事も参考にしてみてください。
具体的に、一日摂取カロリーの目標値の計算方法を説明します。
まず、標準体重を求めます。
これは、自分がBMI22(理想の値)と仮定した時の体重です。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
標準体重に、以下の活動量の数値を掛けたものが、一日の目標摂取カロリー量です。
軽い仕事 :25~30
中等度の仕事:30~35
重い仕事 :35~40
勿論、減量する為には摂取カロリー量を此処から更に減らすことを検討したり、運動を併用することが望ましいです。
ただし無理なく、継続して行えることが一番です。
少なくともカロリーを摂り過ぎることは無いように注意しつつ、自分に合った方法で減量していきましょう。
③DASH食
高血圧の方の食事療法にとって望ましいものとして、DASH食があります。
DASHは、Dietary Approach to Stop Hypertensionの略です。
心筋梗塞などで亡くなる方の多いアメリカで考案された、高血圧を予防・改善する食事方法です。(和訳すると意外とそのままだったりします)
肥満の改善にも良いとされています。
基本的な考え方は、身体に良い食べ物を増やして、身体に良くない食べ物を減らそう、というものです。
■増やすべき身体に良い食べ物
・カルシウム
牛乳、乳製品、大豆製品など
・カリウム
野菜、果物、海藻など
・マグネシウム
アーモンド、ピーナッツなど
・食物繊維
海藻、果物、野菜、きのこなど
・タンパク質
魚、赤身の肉、大豆など
■減らすべき身体に良くない食べ物
・コレステロール
卵、魚卵、レバー、バターなど
・不飽和脂肪酸
バター、チーズ、生クリームなど
④節酒
禁酒する必要がありませんが、節酒は必要です。
具体的には、アルコール換算で一日男性20~30ml、女性10~20ml以下に留めるようにしましょう。
■アルコール20ml換算
ビール(5%)500ml
ワイン(14%)180ml
日本酒(15%)1合
降圧剤を内服していても減塩生活は大切
ここまで高血圧の方の食事療法についてお話してきました。
では、既に高血圧治療中でお薬を内服されている方については、食事療法は効果があるのでしょうか。
実は高血圧を内服治療中の方でも、減塩生活によりお薬の効果がより有効に得られることが分かっています。
お薬を飲んでいても、飲んでいるからこそ、食事療法はとても大切になるのです。
まとめ
今回は高血圧の食事療法についてお話しました。
減塩、というのはよく耳にすると思いますが、それ以外にも工夫できるところが色々とあります。
全てを実行するのは大変だと思いますので、自分に合った方法を取り入れてみてくださいね。
食事を工夫して、高血圧を予防・改善していきましょう!