内科医花芝の健康小話

ちょっと健康に役立つことをお話します。

肥満に対する運動療法。メッツ!エクササイズ!

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肥満を指摘されたので、運動しなくてはいけませんね…。

よし、今からフルマラソンだ!!

無理して続かなくなったら、意味がないですよ…!

 

健康の為に運動を、という言葉はよく聞きますね。

では、具体的にはどのくらい運動すれば良いのでしょう。

今回は一般的な「肥満に対する運動療法」についてお話します。

 

肥満と言われたけど、どんな運動をすれば良いの?

毎日運動しなくてはいけませんか?

 そんな疑問にお答えしていきます。

 

肥満って何?

肥満とはBMI25以上の方のことです。

また、内臓脂肪が蓄積すると腹囲が高値となります。

男性では85cm以上、女性では90cm以上が腹囲高値です。

 

詳しくは、過去の記事をご参照ください。

www.hanashiba-kenko.com

肥満に対する運動療法の意義

肥満に対する治療は、運動療法食事療法が軸です。

・食事による摂取エネルギーを減らす

・運動により消費エネルギーを増やす

両方を同時に行うことで効果が増します。

 

食事制限だけで痩せようとしても上手くいきません。

摂取カロリーが極端に制限されると、身体は危機を感じてエネルギー節約モードに入ってしまいます。

筋肉量も減少し、基礎代謝が下がります。

いわゆる「痩せにくい」身体になってしまうのです。

 

では、適度な食事制限と運動を併用するとどうでしょう。

運動によって筋肉量が上がり、基礎代謝も上がります。

「インスリン感受性」の改善も期待できます。

これは、動脈硬化のリスク改善にもつながります。

 

要するに、運動療法はとっても良い!ということです。

運動療法の目安

運動療法には有酸素運動が効果的です。

低~中等度の強度の運動を週5日程度行うのが良いです。

勿論、それ以上追加しても構いません。

ただし大切なのは、無理なく続けることです。

 

・1週間全力で運動して燃え尽きて止める

・1年間少しずつ運動する

 

上記であれば、後者の方が間違いなく効果的です!

難しい時は生活に組み込みながら、継続していきましょう。

次に、具体的に説明していきます。

有酸素運動と無酸素運動

有酸素運動と無酸素運動の違いを御存じですか?

簡単に纏めると、以下の通りです。

有酸素運動

酸素を使用し時間をかけて行う継続的な運動

無酸素運動

酸素を使用せず短時間で行う強度の高い運動

分かりやすく具体例を出してみます。

ジョギング短距離走を考えてみてください。

 

ジョギングは呼吸を整えつつ長い距離を走ります。

その筋肉を動かすエネルギーは、酸素を使って作ります。

酸素を使ってじっくり脂肪を燃焼させる、有酸素運動です。

 

短距離走はあっという間に走り終わります。

その筋肉を動かすエネルギーは、酸素ではなく糖を使います。

これは瞬間的に沢山のエネルギーを生み出す仕組みです。

ただし、長続きはしません。

そして脂肪を燃焼させることもありません。

これが無酸素運動になります。

運動療法の単位

運動療法には実は単位があります。

有名なものは、メッツエクササイズです。

メッツ

メッツは国際的に使われている身体強度を示す単位です。

「安静時を1メッツとして、何倍のエネルギーを消費するか」

で活動強度を示します。

エクササイズ

エクササイズはメッツに時間をかけたものです。

メッツ×時間(hr)=エクササイズ

という計算になります。

運動療法の具体的な方法

運動療法は、前述の単位を基準に実践していきます。

「メタボや生活習慣病改善のための運動ガイドライン」によると、

内臓脂肪減少の為には、

『1週間に10エクササイズ以上の運動』が望ましい。

とされています。

 

身体活動には、「運動」「生活活動」があります。

そのそれぞれについて、エネルギー消費量の目安が決まっています。

以下の図を参考にしてみてください。

厚生労働省「健康づくりのための運動指針 2006」より
具体的な運動量計算

「歩行」運動強度は3メッツです。

安静時の3倍のエネルギー消費があるということです。

1時間歩行した場合、

「3メッツ×1時間=3エクササイズ」となります。

 

では、歩行で1エクササイズ消費しようと思ったらどうなるでしょう。

この場合、1/3時間必要と言うことになります。

つまり、20分間の歩行=1エクササイズです。

 

難しく感じた方は、上記の図だけ確認してください。

そこに記載されている活動と時間で、1エクササイズです。

1週間でこれを10回こなせば良いと言うことになります。

運動に対するカロリー計算

なお、運動の消費カロリーを知りたい!という方もいる筈です。

その場合の計算式を示します。

1エクササイズ×体重(kg)×1.05=エネルギー(kcal)

これを参考にしつつ、運動計画を立ててみてくださいね。

運動療法(結論)

計算とかややこしい!

とにかく何をすれば良いのか知りたい、という方へ。

 

軽く汗をかく位の運動30分を週に5回しましょう!

 

これで概ね、10エクササイズになる筈です。

まとめ

今回は肥満の方の運動療法についてお話しました。

運動の内容はどんなものでも構いません。

継続できるように、是非工夫してみてくださいね。

また、持病がある方は急な運動は良くないことがあります。

その際は事前にかかりつけの先生とよく相談しましょう。

運動を続けて、健康的な身体を手に入れましょう!