内科医花芝の健康小話

ちょっと健康に役立つことをお話します。

尿酸値の基準値と目標値、関連する病気について解説します。

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健診で、今年も尿酸が高いと言われてしまいました。

尿酸が高いと、痛風になるんだったっけ?

尿酸が高いと、色々と「痛い」病気になってしまいます。

健康診断で尿酸が高いと言われた方はいませんか?

尿酸が高いと、痛風や腎結石の原因になります。

また、脳卒中・心筋梗塞などのリスクも高くなります。

実は放置すると怖い、尿酸値について今日は解説します。

尿酸値って、どれ位を目指せば良いのですか?

尿酸値が高いと、どんな病気になるのでしょう?

そんな疑問にお答えしていきます。

尿酸の基準値

尿酸の基準値は、7.0mg/dL以下です。

男女による違いはなく、全ての方がこの基準で判断します。

この数字を越えると、高尿酸血症と診断されます。

なお、採血前の食事の影響などは受けません。

尿酸の基準値

7.0mg/dL以下

高尿酸血症は、男性に多い病気です。

30代の男性の30%が高尿酸血症という報告もあります。

女性が尿酸値が上がり難いのは、女性ホルモンの関係です。

ただ、閉経後はやや高尿酸血症のリスクが上がります。

尿酸が関係する病気

尿酸はさまざまな病気と関係しています。

一つずつ、見ていきましょう。

痛風

尿酸値といえば痛風ですね。

名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

痛風とは、高尿酸血症に伴う関節炎です。

関節炎が起こると、痛み、腫れ、熱感などを伴います。

足の親指の付け根の関節に起こることが一番多いです。

ただ、足首・手首・膝など、別の関節に起こることもあります。

 

この関節炎は突然起こり、痛風発作、とも呼ばれます。

脱水気味のときなどに起こりやすいです。

とにかく痛いのが特徴で、歩行困難となることもあります。

関節炎は通常、7-10日間続きます。

個人差もありますが、痛み止めが効きにくいこともあります。

だから、予防が大切なのです。

 

なお、痛風発作中には尿酸値をむやみに下げてはいけません。

意外かもしれませんが、尿酸が急に下がることも刺激になります。

結果、関節炎が悪くなる場合があるのです。

局所の安静・冷却・禁酒・適切な薬の使用で、経過を見ましょう。

尿路結石・腎障害

血液中の尿酸濃度が高くなると、尿中の尿酸濃度も上がります。

尿中の尿酸が飽和すると、尿酸が析出します。

これが尿路結石のうちの一つ、尿酸結石です。

 

尿路結石もとにかく痛い病気です。

尿の通り道の尿路が、結石で塞がれて詰まって痛みを感じます。

症状としては、背部痛と血尿が主体です。

 

また、尿酸が腎臓そのものに沈着することがあります。

これが悪化すると痛風腎と言われる状態になります。

腎臓の機能が低下し、最終的には透析を要することもあります。

脳・心血管疾患(脳卒中・心筋梗塞・狭心症など)

尿酸値が高いと、脳卒中や心筋梗塞になりやすいという報告があります。

ただ、厳密に高尿酸血症がこれらの病気の原因とは言い切れません。

 

脳・心血管疾患の原因として有名なのは、

高血圧・脂質異常症・糖尿病などのいわゆる「メタボ病」です。

そして尿酸値が高い方は、メタボ病を併発していることが多いのです。

だから仮に脳卒中になったとして、

「尿酸が高いからなったのか、メタボ病だからなったのか」

ということを正確に調べようとするのが大変なのです。

 

しかし、おそらく単独でも危険因子だと言われています。

いずれにせよ、尿酸を下げるに越したことは無いでしょう。

高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満

メタボリックシンドロームの中身である病態は、

高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満です。

上述しましたが、これらは高尿酸血症と併発しやすいです。

また、互いに病状を悪くさせ合う可能性があると言われています。

 

いずれの病気も動脈硬化を悪くする原因となります。

避けるべき合併症の多くは、血管の病気です。

だからメタボリックシンドロームに該当する方は注意が必要です。

特に尿酸値に注意するのが望ましいと言えるでしょう。

尿酸の目標値

では、尿酸値はどの位を目指せば良いのでしょうか?

基準値は、7.0mg/dLとお話しました。

 

しかし、尿酸を下げる目的は関連する病気を予防することです。

病気の予防のためには、実は7.0mg/dL未満では足りません

尿酸の目標値は6.0mg/dLと言われています。

できればこの数字を目指して、頑張ってみましょう。

尿酸の目標値

6.0mg/dL以下

まとめ

今回は、尿酸値の基準値や目標値、関連する病気についてお話しました。

痛風や尿路結石は、本当に痛い病気です。

なって後悔するよりも、早めに対策をしていきましょう。

尿酸に気を付けて、怖い病気を予防しましょう!