内科医花芝の健康小話

ちょっと健康に役立つことをお話します。

新型コロナウイルス拡大防止の為の電話受診について。

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今晩は、花芝です。

今日は2月28日に厚生労働省から連絡された、

「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」

についてお話します。

何のことかよく分からないのですが…。

新型コロナウイルス拡大防止のため、一部の方の電話での診療が可能になる仕組みです。

どのような方が対象になるのか、注意点など、お話していきたいと思います。

 

正確には「電話や情報通信機器を用いた診療」ですが、この記事では簡易的に「電話診療」と纏めさせていただきます。

※2「情報通信機器」とはテレビ電話などのことで、文字のみのやりとりは認められません。

新型コロナウイルス拡大防止の為の電話診療とは

2020年2月28日に厚生労働省から、以下の内容の連絡が全国の医療機関へなされました。

・新型コロナウイルス拡大防止の為、可能な限り病院受診は少なくしたい

・既に診断されている慢性疾患に対し、電話や情報通信機器を用いた診察を認める

・上記の患者に対し、これまでも処方されていた慢性疾患治療薬を処方できる

 

新型コロナウイルス拡大防止の為には、その感染源との接触機会を減らすことが重要です。

しかし、病院には体調不良の方が受診します。

感染のリスクは、どうしてもゼロにすることは出来ません。

だから感染予防の観点からは、可能な限り病院受診の機会は減らす方が良いのです。

 

ただ、ここでお伝えしておきたいのは、怖がり過ぎる必要もないと言うことです。

「病院は怖い所だから行きたくない。」

と、心配になる気持ちはとても分かります。

しかし体調が悪い時に我慢しすぎて、他の病気が酷くなってしまっては元も子もありません。

病院受診によるリスクと、その他のリスクを天秤にかけて判断すべきです。

電話診療の対象者

電話診療の対象となるのは、以下の条件を満たす方です。

①すでに診断されている慢性疾患

②病院に定期的な受診歴がある

③病状に変化がない・体調不良が無い

④血液検査などの検査が必要ない

とても分かりやすく言うと、

「今回も同じお薬出しておきますねー。」

と、検査もなく診察が終了する方が対象となります。

 

電話診療だと診察(聴診・触診など)も省略されることになるので、その点が本当はよくないのです。

しかし非常時なので「安定している方はOKにしよう」という方針です。

以下にもう少し詳しく述べていきます。

①すでに診断されている慢性疾患

慢性疾患とは生活習慣病など長期に経過が及ぶ疾患です。

具体的には、高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症…などになります。

他にも、腎臓病や膠原病(リウマチなど)などを含むこともあります。

②病院に定期的な受診歴がある

いわゆるかかりつけの病院でのみ、電話受診が可能です。

1カ月に1回、3カ月に1回など、定期的に一つの病院に通っている方が対象です。

これは、かかりつけ医でなくてはその方の状態の把握が難しいからです。

新規の方の場合は、電話での本人確認が困難という問題もあるかと思います。

③病状に変化がない・体調不良が無い

電話診療は、病状が安定していることが大前提です。

何かお薬の調整が必要だったりする場合は、通常受診が必要です。

また、体調不良のときも、普通に病院を受診しましょう。

④血液検査などの検査が必要ない

電話診療では、基本的に検査を行うことが出来ません。

血液検査やレントゲンなどの検査が必要な場合は、病院受診が必要です。

検査の頻度に関しては、個々の方により異なると思います。

必要か不要か、悩む場合は医師に相談してみてください。

新型コロナウイルス感染が疑われる方について

新型コロナウイルス感染が疑われる方に関しては、電話診療の対象外です。

問診などだけで、診断や重症度の把握が困難だからです。

この場合、直接の対面での診療が必要となります。

 

大前提として、新型コロナウイルス感染が疑われる場合は「帰国者・接触者センター」へ連絡して指示を仰ぎましょう。

 

発熱などの風邪症状は、まずは自宅安静で様子を見ることが望ましいです。

もともと健康な方は4日間、高齢の方や基礎疾患のある方は2日間が目安です。

病院受診で病気を他人に移さない・移されないことを優先しましょう。

ただ、あまりに症状が重いと感じたときには、病院にご連絡ください。

個別のケース毎に、判断が必要な場合があります。

まとめ

今回は病院の電話診療についてお話しました。

基本的には、電話だけで患者さまの状態を把握するのは難しいものです。

しかし、それを感染予防のメリットが上回る場合、電話診療が可能となります。

 

電話診療そのものの是非に関しては、様々な意見があります。

時代や必要に応じて、柔軟な議論と対応が必要となってくるかと思います。

いずれにせよ安心した生活を送れるように、皆さまと一緒に頑張っていきたいです。