内科医花芝の健康小話

ちょっと健康に役立つことをお話します。

健康診断は何歳で受ければ良いの?10代は?90代は?

健康診断の業務をしていると、様々な年齢の方がいらっしゃいます。

時々受けるのが、下記のような質問です。

 

「いつまで健診を受けるべきでしょうか?」

「この歳で健診を受けても大丈夫ですか?」

 

 会社に雇用されている方は定期健康診断がありますし、40歳から74歳の方には特定健康診査があります。

しかし、この枠から外れている方、つまり被雇用者ではない10代から30代の方や75歳以上の方は、自分で希望しなければ健診を受けることが出来ません。

 

人間ドックは任意でどなたでも申し込みは可能です。

しかし実際の所、どの程度必要なものなのか?

若い方の受診や後期高齢者の方の受診は、医療スタッフにどう思われているのか?

その辺りも含めてお話しできればと思います。

結論:何歳でも健診を受けて頂いて大丈夫ですよ!

結論としては、何歳でも、健診(人間ドック)を受けて頂いて全く問題ありません。

これで今回の話はほぼ終わってしまうのですが、それだけでは寂しいですのでもう少し詳しくお話していきますね。

 同じ年齢でも健康状態には大きな差があります

身近な方で想像してみると分るかと思いますが、同じ年齢でも一人一人の健康状態は大きく異なっているものです。勿論、傾向としては歳を重ねるにつれて健康に問題を抱えていく方が多いですが、個人差が激しいです。

若い方でも、体型(痩せている・標準・肥満)や飲酒喫煙習慣、運動頻度などによって、健康を損なっている方もいらっしゃるかもしれません。

一概に「何歳なら健康については大丈夫」と言うことは難しいです。

また、「以前大丈夫だったから今も大丈夫だろう」という考え方も絶対とは言えません。

 

体調を崩せば当然病院に相談していただきたいのですが、異常が現れる前に早期に対策を取ることが出来るのが健康診断のメリットです。

自分の健康を確認する意味でも、年に一度の健康診断はおすすめです。

10代後半は少数、20代から増えてくる印象

とはいえ、10代前半までの方は医学的にも成長段階ですし、流石に健康診断を受ける必要は無いと思います。小児と成人では検査値が異なる項目もありますし、健診を受診する利点が少ないと思います。

10代前半までで健康に不安がある場合は、健康診断ではなく普通に病院を受診して相談してみましょう。(なお、一般的には中学三年生くらいまでは小児科の受診対象となりますが、疾患や医療機関によりやや幅があるようです)

10代後半以降の方であれば、問題なく健康診断を利用していただけると思います。勿論、全ての方が受診する必要は無いですし、毎年受診しなければいけない訳でもありません。

ただ、自分では問題ないと思っていても、意外な検査異常が見つかると言うこともあります。運動経験豊富で肥満もなく、生活習慣病とは無縁だと思っていた方が、脂質異常症(いわゆるコレステロール高値)を指摘されることは珍しくありません。

自分のステータスを知るという意味でも、一度健康診断を受けてみるというのは、決して無駄ではないと思います。その上で結果が全く問題なければ、それからは数年おきにしてみるなど調整していただくのも構わないと思っています。

私が診察するかぎりでは、20代後半あたりから健康診断を受ける方が増えてくる印象です。

個人的な経験談では健康診断の最高齢は93歳の方でした

では、高齢の方の場合はどうでしょうか。

よく受ける質問が、「75歳を迎えて特定健康診査が終了するのだけど、今後も健康診断は必要でしょうか」というものです。

これについてはその方のお考え次第にもなりますが、希望される場合は健康診断を(人間ドックとして)継続していただいて全く問題ありません。特に大きな持病もなく元気に過ごされている場合には、推奨いたします。

先程も申しあげた通り、同じ年齢でも健康には大きな個人差があります。75歳になれば制度としての健康診断は終了しますが、だからといって生活が大きく変わる方は少ないのではないでしょうか。検査項目などは必要に応じて増減していただいて良いと思いますが、可能な限り健康診断を継続していくことは、決して不利益にはならないのではないかと思います。

 

私が健康診断で診察した中での最高齢は93歳の方です。 杖なども使用することなく普通に歩行されていて、とてもお元気な様子でした。私の方が健康の秘訣を教えて貰いたくなるような素敵な方でした。

「来年も健康診断に元気でやってくるために、健康に気を付けます」と、仰っていた80代の方もいらっしゃいました。健康診断の為に健康に気を付ける…というのは若干あべこべではありますが、元気で過ごす為のモチベーションの一つになるのなら、それは嬉しいことだと思っています。

 

勿論、持病があったり、健康診断を受診するのが難しい事情がある場合には、無理をする必要はありません。

むしろ定期通院をしていたりかかりつけ医がある場合には、そちらで健康チェックをして貰うと言うことも大切だと思います。(保険診療で検査が出来る場合は、そちらの方が検査代も安くなる場合が多いです)

かかりつけ医の先生と、よく相談してみてくださいね。

健診医から見た若い方や高齢の方の人間ドック受診

「検査結果に異常が殆どなかったのに、受診してしまってすみません」と人間ドックを初めて受けたという20代の方に言われたことがあります。

全くそんなことはないですよ!

検査に異常がないかどうかはやってみないと分からないことですし、結果として殆ど異常が無かったのは喜ぶべきことです。

健康診断には時間もお金もかかりますし、若い方で結果がとても良かったのなら次からの受診頻度をどうするのかは考える余地があると思います。それでも、やはり念のために毎年健康診断を受けておきたいということならば、勿論翌年も受診していただいて何の問題もありません。

医療スタッフ側が健康診断を真面目に受診された方に対して、悪い印象を抱くことはまずありません。万が一、何か悪く言ってくるような病院があった場合は、その医療機関自体に問題があると思います。

 

高齢の方についても基本的には同様なのですが、ひとつだけ注意点があります。

高齢の方に限った話ではないのですが、明らかな体調不良のある場合は健康診断ではなく普通に病院を受診してください!

例えば「2週間前から熱が続いていたんだけど、健康診断があるので耐えていました。結果はどうだったでしょうか」と、言われましても、健康診断はあくまでも全般的な検査なので、発熱の原因精査には足りません。そもそも無理をして耐えて病状を悪化させてはいけません。

健康診断はいつでも受けることが出来ます。まずは自分の体調を大切にしましょう。

 まとめ:何歳でも健康診断受診はOK。ただし体調不良は普通に受診しましょう。

まとめですが、健康診断は何歳で受診していただいても問題ありません。

人間ドックは任意検査ですので強制するものではありませんが、特に日頃病院受診をすることが殆どないという方にとっては、一年に一度健康診断を受けるのは有益なことかと思います。

自分に健康診断が必要なのか迷った場合には、身近な人やかかりつけ医、健診医などに相談していただくのも良い方法ですよ。

ただ、健康診断はあくまで健康のチェックをするものです。明らかな体調不良の場合は、無理せず早めの病院受診をしてくださいね。